価格査定マニュアル 解説書

自社の価格査定基準と、査定ツール(index.html)の使い方をまとめたものです。 点数・単価・係数はすべて config.js にあり、自社の方針に合わせて変更できます。


1. 査定の考え方

本マニュアルの査定価格は、概ね3か月程度で売却できると見込まれる価格です。不動産鑑定評価ではありません。

種別 方法 計算式
住宅地 取引事例比較法(評点方式) 事例㎡単価 × 査定評点 ÷ 事例評点 × 面積 × 流通性比率
戸建建物(木造軸組・2×4・木質プレハブ・軽量鉄骨) 部位別の原価法 + 住宅地 (建物価格 + 住宅地価格)× 流通性比率
RC造戸建建物 部位別の原価法 + 住宅地 同上
マンション 取引事例比較法(評点方式) 事例㎡単価 × 査定評点 ÷ 事例評点 × 専有面積 × 流通性比率

1-1. 評点

1-2. 時点修正・事情補正

1-3. 流通性比率

算出した価格に、市場での売れやすさを加味する係数です。

1-4. 戸建建物(部位別の原価法)

建物を部位(基礎・躯体、屋根、外壁、外部建具、内装、水回り設備)に分け、部位ごとに価値を求めて合計します。

部位の価格 = 標準建築費 × 地域係数 × 規模修正率 × 延床面積 × 部位構成比 × 品等格差率 × 部位の残価率
部位の残価率 = max(最低残価率10%, 1 − 部位の経過年数 ÷ 部位の耐用年数)
建物価格 = Σ部位の価格 × 管理状態係数 × 付加価値加点率 × 現況補正率 − 補修費用

査定対象外の建物

次のいずれかに該当する建物はマニュアルでの査定を行わず、個別に精査します。 築年数が耐用年数を大幅に超えている/雨漏りがある/メンテナンスせず放置されている/ 新築(未入居)/投資用(収益価格で評価)/欠陥住宅/豪邸(一般の需要者層を超える)


2. ツールの使い方

2-1. アプリとして使う

公開URL(または社内サーバーのURL)をブラウザで開き、次の方法で追加すると、アイコンから起動できる専用アプリになります。 一度開けばオフラインでも起動でき、新しいバージョンを公開すると画面上部に「更新する」が表示されます。

端末 追加のしかた
Windows・Mac(Chrome / Edge) TOP画面の「アプリとしてインストール」、またはアドレスバー右端のインストールアイコン
Android(Chrome) TOP画面の「アプリとしてインストール」、またはメニュー →「ホーム画面に追加」
iPhone・iPad(Safari) 共有ボタン(□↑)→「ホーム画面に追加」

1ファイル版npm run build:single で作る dist/価格査定マニュアル.html は、画面・計算・Excel/PDF出力・解説書をすべて1つに入れたものです。 メールや共有フォルダで配り、ダブルクリックで開くだけで使えます(インターネット接続は不要。アプリとしてのインストールはできません)。

2-2. 住宅地・マンションの流れ

  1. 基本情報:査定物件と事例の情報を入力。事例は「+事例を追加」で3件まで。 事例価格(総額)と面積から㎡単価・坪単価を自動計算します。
  2. 評価項目のタブ(交通・近隣、環境・供給施設、街路、画地 など):査定物件と事例のそれぞれを選択。 各項目の加減点と小見出しごとの小計が右に表示され、画面上部の「査定結果」がすぐに更新されます。
  3. 価格の算出:時点修正・事情補正、流通性比率とその理由。
  4. 提案書①:周辺の成約事例・売出事例(参考表示のみ。価格には影響しません)、売出提案価格、コメント、売主様へのご案内。
  5. 提案書②:過去5年の価格推移を入力するとグラフを作成します。
  6. 査定書:お客様にお渡しする査定書を表示。「印刷/PDFで保存」で出力します。

2-3. 戸建建物・RC造戸建建物の流れ

先に 住宅地 で土地を査定し、「査定結果を保存」しておきます。

  1. 建物の状況(査定対象外の判定)→ 1. 基本情報 → 2. 管理状態 → 3. スケルトン(構造部)→
  2. インフィル(内装・設備)→ 5. 付加価値 → 6. 現況評価 →
  3. 価格の算出(「査定結果から住宅地価格を呼び出す」で土地価格を取り込み、流通性比率を入力)→ 8〜9. 提案書 → 査定書

2-4. 保存・事例データ・例文

機能 場所 内容
一時保存 自動 入力内容は自動で保存され、次に開いたときに続きから再開できます
査定結果の保存 各画面右上「査定結果を保存」 TOP画面の一覧から、いつでも開き直せます
事例データ 事例欄の「登録」「呼び出し」 よく使う成約事例を登録し、次回の査定で呼び出せます
例文マスタ 各コメント欄の「例文マスタ呼出」「例文登録」 定型文を差し込み・登録できます
査定結果保存・出力 各画面の右上 保存して、簡易結果(PDF)・提案書(Excel)を出力
Excel出力(一覧) TOP画面「一覧をExcelで出力」 保存した査定結果を1枚の表にまとめて .xlsx で保存
バックアップ TOP画面 全データをファイルに書き出し/読み込み

注意:データは使っているパソコンのブラウザ内に保存されます。ブラウザの履歴削除やパソコンの入替で消えるため、 定期的に「バックアップを書き出す」を行ってください。他の人とデータを共有するときも、このファイルを渡します。

2-5. 査定結果の保存と出力

各画面の「査定結果保存・出力」を押すと、査定結果を保存したうえで「査定結果の作成が完了しました」画面が開きます。

ボタン 形式 内容 使いみち
査定結果の出力 PDF 簡易結果。査定価格と算出式、査定条件(評点一覧)、算出の流れ。住宅地は土地のみ、戸建は建物+土地 入力内容の確認、社内の確認用
提案書出力 Excel 不動産売却価格ご提案書(下の表) 売主様への報告資料

不動産売却価格ご提案書(Excel)のシート

シート 内容 住宅地 戸建 マンション
表紙 お客様名、査定算出日、会社名の帯、注意書き
目次 ページ一覧と外観写真を貼る枠
査定不動産の概要 土地の概要/建物の概要/マンションの概要
周辺の事例 周辺の成約事例・売出事例、付近の公示価格等(価格推移グラフ)
所在マップ 地図を貼る枠
土地(マンション)の評価 査定価格、算出式、評価項目ごとの評点と考え方、使用した事例 ○※
査定条件表(土地・マンション) 評価項目ごとの選択内容と評点 ○※
建物の評価 算出式①〜④、用語の説明
査定条件表(建物) 基本情報・グレード・リフォーム・付加価値・現況評価
査定結果 総合評価、流通性比率とその理由、売出価格のご提案、セールスポイント
売主様へご案内 ご案内文と連絡先
附属資料 資料を貼る枠
建物価格の求め方 標準建築費から査定物件価格までの流れ図

※戸建で「査定結果から住宅地価格を呼び出す」を使ったとき、その住宅地の査定内容で作成します(直接入力のときは土地価格のみ)。

査定結果一覧(Excel):TOP画面の「一覧をExcelで出力」。保存した査定結果を1行1件でまとめます(フィルター付き)。

2-6. デザイン・ロゴ

色は config.jsbrand(ネイビー・ブルーグレー・ワインレッド)、会社情報は company で変えられます。 ロゴ画像を icons/logo.png に置き、company.logo"icons/logo.png" と書くと、提案書の表紙に入ります。

2-7. 個人情報・所在地の扱い


3. マニュアルの編集(編集モード)

上のメニューの「編集モード」から、次の内容を画面で変更できます。

タブ 変えられるもの
住宅地の評価項目/マンションの評価項目 項目の追加・削除・並べ替え、タブ(大分類)と小見出し、選択肢と加減点、数値項目の基準値と1単位あたりの加減点、提案書に載せる「評価の考え方」
戸建建物 標準建築費、都道府県の係数、耐震補正率、基礎・躯体のランクと耐用年数、部位の構成比と耐用年数、品等(A・B・C仕様)、点検周期、工事範囲、基礎・躯体の状態、付加価値項目
RC造戸建建物 標準建築費、地域係数、躯体のランク、部位と品等、管理状態、劣化度、付加価値項目
建物(共通) 規模修正率、最低残価率、現況評価、査定対象外とする建物、用語の説明
価格の出し方 丸め単位、価格の幅、売出提案価格の上乗せ、警告の基準、流通性比率の上下限・選択肢・項目
文言・会社情報 会社情報、査定基準のバージョン、査定書・提案書の注意書き、例文マスタ、編集モードのパスコード

4. 係数の見直し(config.js

初期値は、一般的な査定の考え方に基づいて当社用に新しく作ったたたき台です。運用開始前と、年1回程度を目安に見直してください。

変更したいこと config.js の場所
会社名・免許番号・電話番号 company
丸め単位、価格の幅(±%)、売出提案価格の上乗せ率、警告の基準 policy
流通性比率の上下限・選択肢・評価項目 policy.liquidity
住宅地の評価項目・加減点 land.factors
マンションの評価項目・加減点 mansion.factors
標準建築費・躯体の耐用年数・部位の構成比と耐用年数・品等格差率 building.house / building.rc
地域係数・規模修正率・管理状態・劣化度・付加価値・現況評価 building の共通部分
査定対象外とする建物の条件 building.exclusions
例文マスタの初期値 templates

項目の書き方

// 選択式:選んだ選択肢の pt がそのまま加減点
{ group: "街路", id: "roadWidth", label: "幅員", type: "select", options: [
  { label: "6m以上", pt: 3 }, { label: "4m以上6m未満", pt: 0 }, { label: "4m未満", pt: -5 } ] },

// 数値式:(入力値 − base) × ptPerUnit が加減点。min / max で上下限
{ group: "交通・近隣", sub: "1)交通の便", id: "walk", label: "最寄駅までの徒歩時間",
  type: "number", unit: "分", base: 10, ptPerUnit: -0.8, min: -20, max: 8 },

見直しの進め方(おすすめ)

  1. 過去1〜2年の自社の成約物件を10〜20件選ぶ。
  2. 成約物件を「査定物件」に、別の成約事例を「事例」に入れて査定し、実際の成約価格と比べる。
  3. ズレが一定の方向に出る項目(例:旗竿地がいつも高く出る)の加減点を調整する。
  4. 標準建築費は、建築費の公表データや取引のある工務店の実勢単価を参考に毎年更新する。
  5. 変更したら config.jsversion を更新する(査定書に表示されます)。

変更後は、次のコマンドで計算ロジックのテストとアプリの更新を行います(Node.js が必要):

npm install     # 初回のみ
npm test        # 計算ロジックのテスト
npm run build   # 解説書(manual.html)とオフライン用キャッシュの更新

npm run build を実行してから公開すると、利用者のアプリに「新しいバージョンがあります」と表示されます。


5. 社員で共有する(Cloudflare)

Cloudflare(無料プランで使えます)に公開すると、次のようになります。

準備(最初の1回、30分ほど)

  1. Cloudflare のアカウントを作るhttps://dash.cloudflare.com/sign-up(無料)
  2. アプリを公開する:「Workers & Pages」→「作成」→「Pages」→「Git に接続」で、このリポジトリ(GitHub)を選ぶ
    • 本番ブランチ:main
    • フレームワーク:なし / ビルドコマンド:npm run build / 出力ディレクトリ:app
    • 公開されると https://(プロジェクト名).pages.dev のURLができます
  3. データベースを作る:「ストレージとデータベース」→「D1」→「データベースを作成」(名前:zeronowa-satei、場所:アジア太平洋を推奨)
  4. データベースをつなぐ:Pages のプロジェクト →「設定」→「バインディング」→「D1 データベース」を追加。変数名は DB、データベースは手順3で作ったもの
  5. ログインを設定する(Cloudflare Zero Trust の Access)
    • 「Zero Trust」→「Access」→「アプリケーション」→「セルフホスト型」を追加
    • ドメイン:手順2の (プロジェクト名).pages.dev
    • ポリシー:「許可」、条件は「メールアドレスの末尾」に会社のドメイン(例:@zerocraft.com)、または社員のメールアドレスを1人ずつ
    • ログイン方法:「ワンタイムPIN」(メールに届く数字でログイン)で十分です
    • 作成後に表示される アプリケーションの Audience(AUD)タグ と、Zero Trust の設定にある チームのドメイン○○.cloudflareaccess.com)を控える
  6. 環境変数を入れる:Pages のプロジェクト →「設定」→「変数とシークレット」に次を追加して、再デプロイ
    変数名
    ACCESS_TEAM_DOMAIN 手順5のチームのドメイン(例:zeronowa.cloudflareaccess.com
    ACCESS_AUD 手順5の AUD タグ
    ADMIN_EMAILS 管理者(マニュアルを編集できる人)のメールアドレス。複数はカンマ区切り
  7. 社員に URL を知らせる:開いてログインしたら、TOP画面の「アプリとしてインストール」でアイコンから起動できるようになります

大事:手順5・6の設定をしないと、共有の機能は動きません(誰もログインできない状態になり、データは守られます)。

使い方の決まり

手元での動作確認(開発者向け)

npx wrangler pages dev app --d1 DB=zeronowa-satei --binding DEV_USER_EMAIL=you@example.com ADMIN_EMAILS=you@example.com